3つのエコセーズ
―3 カラーズ―


すみれ


紫のすみれ
あなたに似合う
やさしいすみれ
あなたを見てる
小さなすみれ
あなたを想う

ぼくは散歩をしてたんだ
そうして、それを見つけたの
今度、あなたと来た時に
あなたに会わせてあげたいの
すみれは思う
あなたの瞳
すみれは願う
あなたにつまれ
そっとその手に抱かれることを
けれど、あなたは気づかない
ここに想いがあることも
隣にぼくがいることも
時々忘れてしまうんだ

わたしを見て
とすみれが言った
ぼくを愛して
とぼくが言った
わたしにキスして
とすみれが言って
抱き締めて欲しいの
とぼくが言った

すみれは独り
ぼくも独り
風に吹かれて揺れていた

今日はみつばちやって来て
すみれは二人
ぼくは一人
空行く雲を眺めてた

すみれはしぼみ
ぼくはベッドで
あなたのことを夢見てる

虹色の雨が
貴女を飾り
虹の奇跡が
花に息吹を与え
虹色の想い出が
ぼくを少し幸せにした

紫のすみれ
あなたに似合う
命が枯れるその前に
すみれをあなたに届けたよ
けれど、あなたはいらないと
捨てられたすみれ
かわいそう
死んであなたの足元に……

ぼくは貴女が好きだった
すみれを愛したその人が
今はシャボンの向こう側……
揺らぐ影さえ見えなくて
すみれの代わりに泣いた夜

すみれよ すみれ 紫の
高貴の香り漂わせ
ビロードの上着 身につけて
招かれたのは舞踏会
あなたの胸でうれしそう
すみれよ すみれ 紫の
あなたに似合うと差し出した
すみれよ すみれ ただ独り
小箱の中で
おまえを想う