3つのエコセーズ
―1 おもちゃ箱―
恐竜の骨
恐竜の骨を見つけたよ
それは大きな一本の骨
これは何処の骨だろう?
何の恐竜の骨だろう?
図鑑を見たけどわからない
ぼくはリモコンの探知機と
シャベルを持って出かけたよ
ぼくは恐竜発掘隊
ピピピピ!
ここが怪しそう
シャベルで掘って見つけたよ
あった!
さっきのよりも小さいけれど
大事な骨に違いない
ぼくはあちこち探したよ
家の中のそこここを
絨毯の隅
棚の上
本箱の奥
テーブルの脇
あった! あった!
ワインセラーの中にも
地下室に続く階段にも
おもちゃ箱や
ベッドマットの下からも
ちゃんと一つずつ出てきた
それはとても面白い宝探し
集めた骨は組み立てて
リビングや玄関に飾るんだ
キッチンのワゴンには尻尾の骨が
帽子掛けには頭の骨が
時計の振り子の奥には手の骨が隠れていた
ぼくは恐竜
骨の頭を頭に乗せて
ぼくはガオーッと吠え立てた
だけど ちょっぴり困ったよ
骨はみんな集めたけれど
秘密の地図は暗号で
色と数字の謎だらけ
ぼくは博士を呼んできた
彼は何でも知っていて
恐竜のことも教えてくれた
出来上がった恐竜は
少し威張った顔をして
真っ直ぐ空を見上げてた
見えない空を見上げてた
夜中にこっそり覗いたら
恐竜一人で歩いてた
骨の継ぎ目がコトコトいって
足の関節ギシギシ鳴った
窓の外には千の夢
昔の月が出ていたよ
その月は赤く
今よりずっと大きかった
恐竜は黄色とオレンジの体で
赤いトサカがついていた
そして
ガオーッと一声吼えると
昔の時代に飛んでった
玄関には恐竜の骨
きれいに並んだ背中の骨は
空を走る汽車みたい
そうして 家の恐竜は
夜になると窓を開け
遠い昔の夢の中
古代の風を吹かせてる……
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