3つのエコセーズ
―3 カラーズ―


空とぼくの果てへ……


ぼくは赤いを持っていた
まーるい赤いを持っていた
赤いはいつもやさしくて
赤いはいつも温かい
強い力で抱いたなら
赤いはきっと壊れちゃう
だけど力をゆるめたら
赤いはどっかへ飛んでっちゃう
そんな赤いの持っていた

赤いはぼくの友だちで
いつもプカプカ付いてくる
ぼくは青いも持っていた
だけど青いは空のもの
青いも空が大好きで
ぼくの指の間から
するっと抜けて飛んでった
青いは空と同じ色
いつも見上げて憧れて
とうとう空まで飛んでって
青い空になっちゃった
ぼくはそれを見上げては
いつも青いを探すけど
青いは空と同じ色
青に紛れて見つからない
黄金色の光に照らされて
いつもにこにこ笑ってる

そうしていつか
たくさんの幸せが
ぼくの上に降り注ぐ
まーるい青いが
どんどん どんどん降ってくる
だから
ぼくは何処にいても幸せなんだ
さよなら 青い……

ぼくの赤いは少し震えて
ぼくの心臓にしがみつく
ぼくは赤いを抱き締めて
そっと空に放してやった
臆病なぼくの心臓
そして 臆病なぼくの赤い……
けれど 君は出たがっていた
自由な空と光の中へ……
だから ぼくは飛ばしてやった
赤いは風にゆらゆら揺れて
どんどん昇って小さくなって
空に吸われて見えなくなった

赤いは何に憧れて?
ぼくは何を夢見てた?
突然 心がトクンと鳴って
ぼくは君を感じたよ
何処か遠くの空の下
ぼくを感じる人がいる
だから 赤いを飛ばしたよ
心にそっと糸を結んで
永遠にはぐれない幸せが
どうぞ その人の心に届きますように……
そして その人のところにも
どうぞ たくさんの青いが降り注ぎますように……

ぼくの心臓トクンと鳴って
その人の心もトクンと鳴って
繋がった糸は赤い色
その幸せを届けたのが
ぼくの赤いだってことが
その人にちゃんとわかるように
ぼくはメッセージを飛ばした
ぼくの赤い心を
空とぼくの果てへ続く
赤い風船に託して……