第8話 哀愁のバレンタイン! ヒーローに明日はない!


 「今日も元気だ、オッパイうまい」
豪助は腰に手を当て、配達されたばかりの牛乳をグイと飲み干し、張り切って言った。
「あー、宇宙人の諸君も早く来たまえ。朝の空気の何と気持ちのよいことか。早速鍛錬に出掛けようではないか」
声まで何故かさわやかお兄さん風になっている。

「何だ? どうした? 強い子よい子、メダカの子はまだまだおねむの時間だぞ」
ハーペンが半分寝ぼけた顔で、歯ブラシならぬかきかたえんぴつをくわえて来て言った。
「何と! これは……! 一体何がどうしてこうなった?」
ハーペンはあまりの事に絶句した。
「何を朝から騒いでるの? これじゃあ安眠妨害よぉ。何といっても寝不足はお肌にとって大敵なんだからぁ」
オダイコンが頭にキャップをかぶったままやって来て文句を言った。が、やはりそれを見た瞬間固まってしまった。
「だから何だと言うのだ? せっかくいい夢見てたのにぃ! 目が覚めてしまったではないか」
サツマーゲも文句をつけようとして小さな目を見開いた。

「みんな、何をそんなに驚いているんだい?」
豪助が言った。
「だって」
「それって」
「普通じゃないぞ」
豪助はいつもの豪助ではなかった。髭の剃り残しもなければ髪もぼさぼさではなく、きちんと手入れされていたのだ。しかも、胴着もいつもの黄ばんだような白ではなく、薄桃色に赤いハート柄で埋め尽くされている。
「これを異変と言わずに何としようか」
ハーペンが言った。
「まさしく衝撃的だわ」
オダイコンも驚きのあまり目を白くした。
「貴様、気は確かか?」
サツマーゲが微妙に離れた位置から言った。
「何をそんなに不思議がる?」
「だって」
「だーって」
「当然だろうが」
「そう! 当然なのだ。今日は年に1度のバレンタインデーだ」
「バレンボインデー?」
「ちがう。バレンツインデーでしょ?」
「何を言っとる? バレチャアカンベーだ」
3人3様に聞き違えたまま納得し、豪助を見つめる。

「つまり、今日は好きな女の子からチョコをもらえる日なのだ」
豪助が得意そうに説明する。
「何だ。そういう日ならメイビー星にだってあるぞ」
ハーペンが言った。
「そうそう。いつでも何処どこでも美しいこの私などいつも両手に余る程のチョコに埋もれて息をするのも困難な程であった」
オダイコンが言った。
「そうそう。この私とて、毎年、妻のウジュルアと可愛い娘のチュミレちゃんからうれしい手作りチョコが届くのだ。それが楽しみで楽しみで……」
「とにかく、おれはこの日に掛けているのだ。おまえ達もチョコが欲しければ精進せいよ」
と、豪助は豪快に笑うとジョギングに出掛けた。

「あの人、本当に大丈夫かしら?」
オダイコンが言った。
「うむ。靴紐や靴の底までピンクに染まっておったぞ」
とサツマーゲ。
「それよりも、我々も準備を整えた方がよろしいかと……」
ハーペンが進言する。
「そうだな。確かに出遅れてしまった。よし! 全員、今から準備に掛かれ!」
「はっ」
ハーペンがガサゴソコソと駆けて行く。
「準備するって言ったってどうすれば……。取り合えずお肌をほんのり桜色にでも染めてみようかしら?」
とオダイコンもあれこれ想像を巡らせながら戻っていった。


 ハーペンが準備のために外を歩いていると向こうからはじめがやって来た。彼は手に赤いリボンとオレンジ色のリボンの付いた可愛い箱を持っていた。
「はじめ。もしかしてそれ、女の子からのチョコレートなのか?」
「うん。そうなんだけど……」
と言いつつ何故か彼は元気がない。
「何だい? 2つもチョコレートもらったのにどうした?」
「それが……。困ってるんだよ、ぼく」
「何でさ?」
「だって二人共とっても可愛い子なんだ。和歌山愛ちゃんは歌がうまくて明るいし、長野皐月ちゃんはマンガが得意でとってもおもしろい子なの。ぼく、二人共好きなのに、急にどちらか一人に決めてくれって言われてとても困ってるんだよ。ねえ、ぼく、どうすればいいと思う?」
「うーん。そうだな。おれもメイビー星じゃあよくあったからおまえの気持ちよくわかるよ」

「ハンペンも?」
「ああ。何しろ、おれは宇宙のヒーローだからさ。あっちの星でもこっちの星でもモテまくりでさ。今日もこれからコンテナを借りに行くところなんだ」
「コンテナ?」
意味がわからず、目を丸くしてはじめが言った。
「いや、あまりの量のチョコが届くからさ。それくらいの入れ物用意しとかないとご近所に迷惑が掛かっちゃうんだ」
「ふうん。すごいんだね」
はじめが感心したように言うのでハーペンはすっかり気をよくして言った。
「そんじゃあさ、もらったチョコがおいしかった方にしたら?」
「でも……」
「だって決めないと困るんだろ?」
「そうだけど……。どっちも手作りなんだ。愛ちゃんはみかんで、皐月ちゃんはリンゴをベースに使ったんだって……」
「そうか。で、はじめはどっちが好きなんだ? みかんとリンゴではさ」
「両方」
「うーん。そうか。そいつは困ったな」
とハーペンも困って腕を組む。

「ハハハ。そういう時にはさ、両方と付き合っちゃえばいいんだよ」
不意に後ろから声がした。振り向くとそこにはヤキチョバが立っている。しかも、両手いっぱいのチョコを抱えて……。
「何だ、ヤキチョバ。その大量のチョコはどうした? おまえ、まさか未成年のくせにパチンコで景品交換して来たんじゃないだろうな?」
「ハハハ。そんな事する訳ないだろ? これ、みーんな女の子達にもらったんだ」
「何? ウソだろ? 何でおまえが……」
などと言っている間にもヤキチョバを追って来た小さい女の子達が次々と彼にチョコを渡していった。

「何なんだ? 一体、どうして奴がそんなにモテるんだ?」
ハーペンが通り過ぎようとしていた女の子を捕まえて訊いた。
「どうしてヤキチョバにチョコをあげるの?」
すると頭に大きなリボンを結んだ女の子がキッと見上げて言った。
「バカね。そんなの愛があるからにちまってるでちょ?」
「あ、愛だって?」
「そ! あたちたち、ヤキチョバちゃんを愛ちてるから……」
「愛ちてるだって?」
「しょうよ。だってヤキチョバちゃんは、あたちたちにとって、かけがえのないお砂場の王子さまなんでしゅからね」
「しょうよ、しょうよ」
からっ風幼稚園シラギク組の女の子達が口をそろえて言った。

「何だよ、あいつ、いつの間に幼稚園児にモテたりして……。なんだかんだとうらやましいぞ。おれにもチョコちょうだい?」
が、彼女らはきっぱりと拒絶した。
「ダメよ! あたちたちがいつまでもゆーじゅーふだんなハンペンばかり食べていると思ったら大まちがいよ。あたちたちだって、ちょっぴりシゲキ的でピリカラな大人の味だって感じたいんでちゅからね」
「何と! いつの間にかこの街はストリクト星人達に支配されかねないぞ。くっそぉ! そうはさせるか!よし! こうなったら合体だ!」
ハーペンは慌てて辺りを見回すがいるのは幼稚園の子供ばかりだ。
「おい、はじめ、おれと合体しよう! この街の平和を守るために……」
「え? 無理だよ。ぼくの頭の中は、あの子達のことでいっぱいなんだ」

「そうか。いっぱいかあ。だけど、横断歩道ではしっかり右と左を確認しなくちゃ危ないぞ」
いつの間にか現れた大分警部が言った。
「右を見て、左を見たら、もう一度、右を見る」
いつになくさわやかな声で警部は言った。が……。
「あーん。確認している間にまた信号が赤になっちゃったよぉ」
と、はじめが泣きそうに言った。
「あー、お巡りさんが子供を泣かしてるぞ」
ハーペンが言った。
「いや、これはその……。人生もまた微妙なもので……。急がば回れということで、女の子達にも、時にははっきり言うことも大切なのだ。お巡りさんだって本当はチョコが欲しい!」
「そうだ! おれだってホントははじめから終わりまで、真ん中にいたってチョコが欲しい! 欲しい! 欲しいんだい!」
とハーペンが空しく雄叫んでいる間にはじめは決意した。
「ぼく、やっぱり二人にはっきり言おうと思うんだ。今はまだ友達のままでいようって……。それから先の事はもっと大人になってから決めたって遅くはないんだ。ぼく、早速、二人のところに行って来るよ」
と言ってはじめは行ってしまった。見れば、まだヤキチョバは幼稚園児達に囲まれて楽しそうにしているし、大分警部はその間に素早く交番へ戻っていた。

「くそっ! こうなったら……」
と見回すと向こうからチョクとレージュンの二人組みが仲良く腕を組んで歩いて来た。
「おい、おまえらどちらかおれと合体しろ」
「え? 何でよ。わたし達を誰だと思っているの? ねえ、チョクちゃん」
「そうよ。レージュンちゃん。だめな時ははっきりだめと言った方がその人のためになるのよ」
と大きな袋をガサガサさせて行ってしまいそうになる。
「おい、待て! おまえら、もしかしてその袋の中身はチョコなのか?」
「そうよ。ねえ、レージュンちゃん」
「そうそう。わたし達ってメイビー星人と違っていつもはっきりしているからモテるのよね。チョクちゃん」
「そんなバカな……。何であいつらばっかりあんなにチョコ持ってるんだ?」

と、そこへ買い物を済ませたメノンがやって来た。
「ようし。あいつはチョコ持ってないぞ」
と近づこうとする。途端にいきなり凄まじい振動を轟かせてつぼねがやって来た。そして、メノンの前で急ブレーキを掛けて止まった。
「よかった。間に合った。はい。お兄ちゃんには特製メロン入りチョコよ」
「ありがとう」
メノンは僅かに照れながらもそれを受け取る。
「それから、こっちは弟達に……。イチゴ入りだよ」
「わあ、ありがとう」
「ありがとうございます」
「ホントにありがとう」
みんなうれしそうだ。
「そんじゃね」
つぼねは渡す物だけ渡すとさっさと帰ろうとした。
「あれ? つぼねちゃん、おれのは?」
ハーペンが言った。
「ああ、悪いね。チョコは丁度これでおしまいなんだ。でも、丁度パム兄弟の分が間に合ってよかったよ」
とパンパン腹を叩きながら去って行った。
「だから、おれの……」
空しい声だけが辺りに響く。
「でも、いいもんね。本命はこれからさ。やっぱ、コンテナ借りて来るんだもんね」
とふてぶてしく歩いて行こうとすると、向こうから女子高生が小走りしながらやって来るのが見えた。ちょっぴり息を弾ませ頬を赤く染めている。

「お? 今日は二人いっしょじゃないぞ。さては抜け駆け? そうか。ゆいとメイのどちらかがついにおれのヒーローセンスのカッコよさに気づいて、ないしょでチョコを差し出そうというのだな。よし。ならば受けてやる。そして、可愛い子ちゃんと合体だ!」
ピーピーピーッ! とエラー表示のようなホイッスルが響く。見るとものすごい勢いで大分警部が交番から飛び出して来た。
「ちょっと! そこのおでんのような君、いかんよ。女の子と合体だなんて……! そりゃあ、公序良俗にもとるぞ! っていうか、誰だってそんなことを聞いたらうらやましくなってしまうかもしれないんだぞ。そういう言葉を軽々しく言ってもらっちゃあ困るんだけどね」
「なんてお巡りさんが言ってる間にあっちではもっとうらやましいことになってしまっているぞ」
ハーペンが指差した。そちらでは、ゆいが緑のリボンで可愛く結んだ箱をメノンに渡そうとしていた。
「あーっ! ずるいぞずるいぞ! 汚いぞ! メノンだけにチョコあげるなんて……。これを見たらメイちゃんが泣くぞ」
ハーペンが喚く。
「あーら、何言ってんのよ。これは、この間の雪山でのお礼よ」
ゆいは言うと、ハーペンには義理チョコの一粒もくれずに帰って行った。

「あーん。酷いよ。合体したいよぉ!」
ピピーッ!
「だから、いかんというに!」
大分警部がホイッスルを鳴らす。
「そんならいいよ。おれなんかモテモテだから抱え切れないチョコが宇宙から届くんだもんね。今から巨大コンテナをチャーターして来るんだかんね」
と行ってしまった。


 一方、サツマーゲは、宇宙宅急便で妻や娘から今年も可愛いチョコレートが届いて満足していた。そして、よりビューティーになったオダイコンのところにもゆいとメイから愛のこもった手作りチョコが届けられた。
「ゆいのチョコはコラーゲン入りよ」
と言えば、メイも負けずに言い返す。
「わたしのチョコなんかヒアルロン酸入りなんだかんね」
「わたしのなんか特性マリンコラーゲンをナノ化した粒子をふんだんにトッピングしてるのよ」
「何よ! わたしのなんか青汁入りでお通じにもいいんだから……」
「こっちだって体にいい天然にんにくをたっぷりすりおろして配合したわ」
「わたしのチョコはスッポン入りよ!」
「こっちはビフィジス菌だって入ってるのよ」
「こっちは団地の鉄骨砕いた鉄分入りよ」
「わたしのはウチのタマの食べ残した魚の骨のカルシウムだってたっぷり入ってるわ」
「血液サラサラネバネバの納豆だって入れたんだから」
「体にいいっていうからわざわざ魚を絵の具の青で塗った青魚だって入れたわ」
「カニの甲羅とはさみだって……」
「ブランデーは高かったからじいちゃんのお手製まむし酒を失敬して入れたんだから……」
「わたしのだって梅酒とらっきょう漬の汁とオリーブオイルまで入ってるわ」
二人は一歩も引かずに1時間はチョコに配合した成分の事を言い合っていた。

「何か美容と健康とお腹にきそう……」
オダイコンがこっそりその場を逃げ出すと、突然、背後から声を掛けられた。
「ちょっと、そこの白い大根すりおろしの人。この間はゴミのお掃除ありがとう。よかったらこれ食べてちょうだい」
見るとやけにしおらしくなったミムラーが片手でチョコを差し出していた。リボンは掛けられていないがちゃんと市販のチョコである。
「ありがとう。私はこういう普通のチョコレートを望んでいたのだ」
と言ってそれを受け取るとオダイコンはうれしそうに一口食べた。
「ホントに、世の中にはもったいない事をする人が多くて困るのよね。そのチョコだって賞味期限がたった1年ばかり過ぎただけなのに開封もせずにゴミといっしょに捨ててあったんだよ。あー、よかった。もらってくれる人がいて……」
とぶつぶつ言いながらミムラーは帰って行った。
「……」
それを聞いたオダイコンはあまりのことに固まっていたが、やがて金縛りが解けたように叫んだ。
「いぃやぁーん!」
それから、しばらくの間、オダイコンは個室にこもって出て来なかった。

そうこうしているうちにハーペンが帰って来た。
「ようし! これで準備は完璧だぞ。いつどこからチョコレートがやって来ても受け入れる準備は万端だ」
と有頂天になっている。と、そこへ豪助が空手教室の指導を終えて戻って来た。その手には本当に数えれば数え切れるくらいのチョコが乗っていた。
「すごいだろう?」
と豪助は自慢したが、窓の向こうから家路に向かう子供達の声が聞こえて来る。
「ここの先生ってホントにわかりやすいよね。チョコが欲しいって素直に言えばいいのに……」
「あんな格好されたらあげないわけに行かないものね」
道場に通っている少女達が話している。が、それでも通って来る子供達の数は多かったので、たとえ義理でも数がいくのである。

「何だ。みんな、大したことないなあ。まあ、それも仕方のない事か。おれのように宇宙規模に人気のあるヒーローと比べたら申し訳ないもんな」
とハーペンがハッハッハと笑う。
「もう間もなく宇宙宅配便が山ほどのチョコレートを届けてくれるだろう」
と胸を張る。
「宇宙宅配便ならさっき来たぞ」
サツマーゲが言った。
「何? それは本当か?」
「そう。おれの愛する家族からのチョコを届けてくれたのだ」
「ならば、おれのチョコは何処だ?」
「他には何もなかったぞ」
「そうか。わかったぞ。おれのチョコはあまりにたくさん有り過ぎて困るから専用便で届くんだ」
「そんな風ではなかったぞ」
とサツマーゲが冷静に言った。
「ちがわい! みんな、おれにやきもちやいているんだな?そんならいいもん。届いたチョコはみんな独り占めしちゃうもんね」
といじましく外へ出て行った。が、待っても待ってもチョコレートは来ない。
「きっと何処かで渋滞してるんだ。ようし! こうなったら、こっちから向かえに行くぞ! よし! コンテナと合体だ! おれのチョコちゃん待ってろよ!」
と、ハンペンはあまりにも巨大な空っぽのお腹を抱えて、何処までも何処までも有りもしない幻のチョコレートを追って走って行った。


 そして、次の日。埼玉北のタウンはいつもの朝を迎えていた。豪助はいつもの胴着に戻っていたし、ようやくお腹の具合も元通りになったオダイコンは鏡の前でせっせとお肌の手入れに余念がない。サツマーゲは時折、空を見上げては愛する妻と娘を思って遠吠えをした。大分警部はいつものように町内をパトロールしたし、つぼねは元気に登校する子供達を見送った。はじめはちょっぴり照れながらも両手に花のように可愛い女の子達といっしょだったし、ストリクトの連中もそれぞれさわやかな朝を迎えた。

そして、ハーペンはタイムオーバーで合体が解けて独り公園のすべり台の少し横に立って空を見上げた。が、ついに宇宙宅配便のロケットは来なかった。

「あーん。酷いよ。寒いよ。惨めだよぉ」
すると頭上を飛ぶいつものカラスと目が合った。
「かっかっか!」
とカラスが笑う。と、その口にくわえられていた何かが落ちてハーペンの頭にコツンとぶつかった。
「いてっ!」
思わず手をやると何かをつかんだ。が、それは糞ではなかった。
「お! 何とこれは……」
ハーペンは目を見開いた。それは、彼が待ち望んでいた物だった。
「チョコだ!」
それは小さなピーナツ入りの一粒だった。
「おーい。カラス! 落し物だぞ」
と、ハーペンが手をパタパタと振った。が、カラスはまだ、
「かかかかっ!」
と笑いながら飛び去って行った。
「くれるのか?」
ハーペンは何となくうれしくなった。
「よーし! この一粒にパワーをもらってがんばるぞ! ストリクトの連中みたいにただたくさんもらえばいいってもんじゃないやい!」
と負け惜しみを言いつつ、ハーペンは胸を張って帰って行った。その後ろ姿の尻は、相変わらずピンクであった。が、その形はハートではなく、チューリップ模様になっているのが何とも微妙な姿ではあった。

つづく